ウェルネスクリニック

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内科・生活習慣病(糖尿病・高脂血症・高血圧)・甲状腺を診療する柳井市の病院です。

トウニョ
〒742-0021 山口県柳井市柳井1547-1
2020.05.28

クリメシ(まかないー149「魚のホイル焼き」)

DSC08692.JPG平成26年3月より月2回程度の「まかない」を始めました。NHKの「サラメシ」という番組を真似て、「クリメシ」と名付けました。令和2年5月28日(木)のまかないは「魚のホイル焼き」で、12名が参加しました。3分間スピーチは大久保院長。


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今回の献立「魚のホイル焼き」は、調理実習の初回シリーズでやっているものです。
“生姜ごはん”は、千切りのしょうが、油揚げ、調味料を炊飯器にいれて米と炊きます。炊きあがったら松の型にぬきました。
“魚のホイル焼き”は、今回はタラを使用しました。アルミホイルにタラ、きゃべつ、しめじ、玉ねぎ、カロリーオフのマヨネーズをかけて包み、オーブンで焼きました。
“ひじきの中華風”は芽ひじきを使ったので、さっとゆでるだけで食べられます。きゅうり、だいこん、ゆでたにんじんをドレッシングで和えます。

“澄まし汁”は”わかめとしいたけ、卵白を使います。卵黄はというと、”シナモンポテト”でゆでたさつまいもと合わせて俵型に成型し、オーブンで焼きます。
3分間スピーチの後に院長が「福岡の南先生のFBに美味しいとあった”佐賀錦ロール”を、今回は抹茶ではなくプレーンを通販で注文した」のを追加のデザートとして、しっとりとして、しつこくなく、美味しくいただきました。食べることばかり考えて、写真を撮るのを忘れてしまいました。
まかないアンケート(計12名)
1.魚料理は週に何回食べますか? 週に5〜6日:1名、週に3〜4日:3名、週に1〜2日:8名
2.腹何分 腹8分:2名、腹9分:3名、満腹:7名
3.今日のまかない、星いくつ:全員星3つ
4.感想
生姜ご飯が香りがよくておいしかったです。魚の臭みもなく、野菜もちょうどよく蒸されていておいしかったです。
ひじきの中華風サラダがあっさりでおいしかったです。家でやってみようと思います。シナモンポテトの香りがよかったです。
3分間スピーチ(要旨)「夜と霧」(ヴィクトール・フランクル著)、大久保院長
JAFの会員になると「JAF Mate」という雑誌が送られてきます。「幸せってなんだろう」というコーナーがあり、1ページで簡単に読めて、いろんな分野の人が寄稿しています。今回の「夜と霧」という本は、元大阪大学総長の哲学者の鷲田 清一さんが紹介され、NHKの「100分de名著」にも取り上げらており、一緒に購入しました。
本の主人公であるフランクル(1905〜1997)は心理学者で、ウイーン生まれのユダヤ人。第二次世界大戦中に、ナチスの強制収容所に送られ、その体験を本にしたのがこの本です。本のタイトルの直訳は「心理学者、強制収容所を体験する。」です。

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1942年、37歳の時に、家族とともに強制収容所に抑留され、家族とは離れ離れになりどうなったかもわからない状態で、何箇所かの収容所に移送されています。悪名高い「アウシュビッツ」収容所にも移送されましたが、数日で別の所に移送となったことも、生き延びることができた理由の一つとなっています。
メインのテーマは困難な状況における収容者の精神状態の分析にあります。
大きく3つのパートからなり、
パート1;収容所に送られて来た直後の状態、「収容所ショック」
パート2;収容所での生活、これが多く部分を占める、「心が麻痺」
パート3;収容所から解放された時、「精神の潜水病」

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パート1
1500人が何日にもわたり、貨物列車に座ることも出来ないくらい詰め込まれ、アウシュビッツに到着。「最初の淘汰」で95%の人はガス室から焼却場へと運ばれた。「収容所ショック」が最初の反応であった。しかし、「人間は何事にも慣れる存在でもある」
パート2
過酷な労働や生活環境、1日少量のパンと水のようなスープ、少しのマーガリンかソセージなど、悲惨な状況に数日から数週間経つと、嫌悪、恐怖、同情、怒りなどの感情が消滅し、「心が麻痺」をする。これは精神にとって必要不可欠な自己保存メカニズムとなっている。
パート3
解放されてすぐには大喜びできず、完全な精神の弛緩があった。うれしいとはどうゆうことか忘れていた。「精神の潜水病」、精神的に圧迫から急に解放され、精神の健康を損ねた。

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この本のメインのテーマは「人間が人生の意味は何かと問うに先立って、人生のほうが人間に問いを発してきている。」「人間は生きる意味を問い求める必要はなく、人生からの具体的な問いかけに対する具体的な答えでなくてはならない。」考え方のコペルニクス的転回が必要である。
「ロゴセラピー」と呼ばれるアプローチで、「ロゴス(意味)によるセラピー(癒し)という意味。人がみずから生きる意味を見出し、人生を紡ぎ上げていくのを援助する。」
前半部分の「人生の意味は何かと問う」というのは、特につらい状況になった場面によく考えることでわかります。
この本の場面は強制収容所ですが、似たような状況は古くは「シベリア抑留」、現代でも、根治が望めない進行した癌を患った状態、仕事を解雇されて生活に困窮した状態、大規模な自然災害、見通しのつかない、厳しい状況に置かれた時にも共通するテーマとなっています。「いったい、なぜ、私がこんな目に遭わなくてはならないのか。こんな人生にどんな意味があるのか」と人生を嘆くことが多くあります。
後半部分の「人生が人間に問いを発している」について
前半部分に対して、フランクルは「人生の意味」について問うことが間違っており、こちらから問うことのできるものではない。と述べています。
「それではどうしたらいの?」というのが、文の後半で「人生から問われていることに、全力で応えていくこと。」とあるのですが、単に読んだだけではスッキリとしない解決法です。
その方法として、幾つかの例が示され、
「この人生で、あなたに与えられている意味や使命は何か」
「あなたのことを必要としている誰か、何かが、この世界にはあり、それに目を向ける」
この本来のあり方からはずれていく時、人間は慢性的欲求不満の状態に追い込まれていく。「人間」と「人生」の関係に逆転現象が起き、「人生」が「人間の欲求や願望」を実現する舞台のようにとらえ、「欲望や願望中心の生き方」するようになり、「絶えざる欲求不満の状態」に追い込まれる。
自殺を図ろうとした人に対し、
収容所ではあまりの絶望のためにみずからの手で命を絶つ人が絶えなかった。
ある時に、「人生からはもう何も期待できない」と自殺を図ろうとする2人の仲間が来た。フランクルは「あなたには、あなたのことを待っている誰かが、どこかにいませんか。あるいは、あなたによって実現することが待たれている何かがありませんか。よく捜してみてください。」と言った。この世にあることに気づき、自殺を思いとどまった。
「生きる力」はあくまで自分の意思の問題で、あたかも自分の内部から湧いてくるように考えがちだが、実際にはそうでないことが多い。自分を待っている誰か、何かとつながりを意識した人は決して自らの生命を絶つことはない。
「自分の人生に与えられている意味と使命」を見つけるための手がかりとして「三つの価値」がある。それは「創造価値」、「体験価値」、「態度価値」。
「創造価値」
「創造活動」や「仕事」を通して実現される価値。
収容所という劣悪な環境にあって、フランクルはアウシュビッツで没収された原稿の復元や自分の経験を将来、多くの人の前で講演している自分の姿に想像を巡らせていた。職業の内容は重要ではなく、「どれだけ最善を尽くしているか」が重要。
「今の仕事にやりがいが感じられない。しかし、どんな仕事が自分に向いているかわからない。」「何かもっと他に自分の個性を素晴らしく生かしてくれる仕事」があるのではと考えがちで、目の前の仕事をおろそかにしてしまう。目の前の仕事を夢中でやっていることが重要。
「体験価値」
自然とのふれあいや、人とのつながりの中で実現される価値。「何か」や「誰か」と出会いによってもたらせる価値。大自然と触れ合う体験、誰かと愛し合う体験、他者と深くつながりあう体験などによって実現される価値。
例)
長く激しい登山の果てに、心洗われる日の出を見たとき、感動で涙が止まらないような映画を見た時、コンサートでゾクゾクと鳥肌が立つような音楽を聴いた時、初めての子供を授かり腕に抱き上げた時など。こうした体験がその人の人生を豊かにし、生きてきてよかったという思いを与える。
囚人運搬列車の鉄格子の覗き窓から丁度頂が夕焼けに輝いているザルツブルグの山々を仰いでいる我々のうっとりと輝いた顔を誰かが見たら、今の悲惨な状況にある人間とは思えないであろう。フランクルは妻を想うことで苦難に耐え、収容所の過酷な状況の中を生きしのいでいく力を得た。
「態度価値」
自分では変えることができないような出来事に、その人がどのような態度をとるかによって実現される価値。すべては、自分の運命に対してその人がとる精神的態度にかかっている。
強制収容所という同じ体験をしても、それに対してその人がとる「態度」によって人は天使にもなり、悪魔にもなりえた。
(例)
ある人は天使のようになり、自分も飢えにさらされているのに、人にパンを差し出しました。また逆にある人は、まるで悪魔のようになり、餓死した人のまだ暖かい足から靴を剥ぎ取りました。
強制収容所の中でどれほど「創造価値」実現の機会が失われ、「体験価値」実現が奪い取られても、なお「態度価値」を実現する機会だけは失われなかった。
「幸福」について
幸福は求めることができないもので、追えば追うほど逃げていく。
逆に、幸福それ自体を追い求めるのをやめて、仕事にただ夢中になって没頭し、愛する人を心込めて愛し続ければ、結果として、おのずと幸福は手に入ってくる。
「幸福」を「自己実現」という言葉に置き換えても同じことが言える。
現代社会で、「どうすれば自分らしく生きられるだろう」「どうすれば自分の個性を発揮することができるだろう」と自分らしい生き方(自己実現)を必死で追い求めている。「自分探し」という言葉が、現代社会の風潮を良く表し、人とは違う何かを求めて四苦八苦している。自己実現の追求は、きりがなく、どこまでいっても満足することはない。「永遠の欲求不満の状態」に陥ってしまう。他者からの、あるいは世界からの問いかけに応えようと人が無心に何かに取り組んでいる時に、その結果として、幸福や自己実現は自然と生じてくる。「自己中心」から「人生からの呼びかけ」に応えていく「意味と使命中心の生き方」への転換。
「苦悩」について
「苦悩」は人間の能力の一つである。
「悩み」や「苦しみ」の持つ説教的な意義に着目する。
人間にとってもっともつらい苦しみは「自分がなぜ悩み苦しんでいるのか、その理由がわからないことだ。意味に満ちた苦悩であれば、多くの人は耐えることができる。ストレス社会の現代を生きていく上でも大きなヒントになる。「意味に満ちた苦悩」とは「誰かのため」「何かのため」の苦悩である。
安易なポジティブ・シンキングによって前向きに生きるよりも、悩むべき人生の本質的問題に直面した時には、それをごまかさず、目をそらさず、真正面から、とことん苦悩してよし、そうすべきだ、苦悩の極みにおいて、人間精神は真に高められていく。
「あなたがどれほど人生に絶望しても、人生があなたの方に絶望することはない」

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献立 5.8単位(465kcal)
生姜ご飯 精白米、生姜、油揚げ、こんぶ、薄口醤油
魚のホイル焼き たら、玉ねぎ、しめじ、キャベツ、カロリーカットマヨネーズ、トマト、パセリ
ひじきの中華風 ひじき、人参、きゅうり、大根、酢、醤油、砂糖、ごま油
すまし汁 卵白、わかめ、しいたけ、だし汁
シナモンポテト さつまいも、卵黄、砂糖、シナモン、黒ごま