ウェルネスクリニック

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内科・生活習慣病(糖尿病・高脂血症・高血圧)・甲状腺を診療する柳井市の病院です。

トウニョ
〒742-0021 山口県柳井市柳井1547-1
2022.01.20

クリメシ(まかないー187「豚肉の照り焼き」)

平成26年3月より月2回「まかない」を始めました。NHKの番組「サラメシ」を真似て、「クリメシ」と名付けました。令和4年1月20日(木)のまかないは「豚肉の照り焼き」で、10名が参加しました。3分間スピーチは大久保院長。

今回のまかないは、当院の初回シリーズでは定番の「豚肉の照り焼き」にしました。豚肉の照り焼きのメニューでは「すまし汁」が汁物で付くようになっていますが、今回は矢野栄養士が考えた白味噌のお味噌汁を用意することになりました。
9時に集合して調理がスタートしました。
“豚肉の照り焼き”は、豚肉に下味をつけ、フライパンできつね色になるまで焼きます。付け合せはレタス、ブロッコリー、ミニトマトで、ミニトマトは綺麗に飾り切りします。

“炊き合わせ”は、今回はじゃがいもを使用しました。じゃがいもを大きめに切り、人参はねじり梅にして下茹でします。さやえんどうは筋を取って塩ゆでします。鍋にだし汁を注ぎ、焼き豆腐、じゃがいも、人参、しいたけを加えて落し蓋をして煮含めます。火が通ったら醤油で調味します。この煮物には砂糖をいれず、だしをしっかりとってこれだけで食べられるようにしてあるところがポイントです。
“酢の物”は、きゅうりは蛇腹切りにし、塩もみして水気を切ります。生姜は千切り、わかめは水で戻しておきます。それをだし汁、砂糖、酢と和えます。
“白味噌の味噌汁”は、えのき、小口切りにしたねぎをだし汁で炊いて、わかめと生麩を加え、白味噌一人12gを溶き入れます。最後に少しだけお塩も加えました。器に盛り付けた後、細切りにしたねぎと柚子皮をのせました。生麩の鮮やかな赤や黄色、ねぎの緑がお味噌汁の白によく映えてとても美しい汁になりました。今回このお味噌汁がスタッフの皆さんから好評で、献立を考えた矢野栄養士も嬉しそうでした。定番の初回シリーズですが、冬は今回の白味噌のお味噌汁にしようかというお話も出ました。
“果物”はりんごで、ところどころ皮を残し、1人1/4個を2等分にして盛り付けました。

まかないアンケート(計10名)
1.ご家庭で作られる豚肉料理は何ですか? 
豚肉の生姜焼き:9名、豚しゃぶ:6名、豚汁:8名、トンカツ:6名、酢豚:3名、豚の角煮:4名、その他:2名
(ピカタ、カレー粉ピカタ)
2.腹何分 腹8分:1名、腹9分:1名、満腹:8名
3.今日のまかない、星いくつ 全員星3つ
4.感想: 豚肉柔らかかったです。焼き色が食欲をそそりました。豚肉の照り焼きの味付けがちょうどよくて美味しかったです。豚肉のたれがかかっていた方が(トローリ)美味しそうに見えると思います。(カロリーUpするかも)
炊合せの盛り付けが綺麗でした。人参の飾り切りがあると綺麗に見えますね。キュウリや人参の飾り切り、少しやるだけで見栄えも良くなるなーと思いました。
白味噌仕立てのお味噌汁アツアツですごくすごく美味しかったです。また食べたい!!白味噌のお味噌汁はじめて食べましたが美味しかったです。ぜひ家でも作りたいと思います。上品であたたまりました。

3分間スピーチ(要旨);「カタリン・カリコ氏とmRNAワクチン」大久保 院長

この2年間社会生活に大きな影響を与えているのが新型コロナウイルス感染症です。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19:coronavirus disease 2019)は、SARS-CoV-2 ウイルス(sever acute respiratory syndrome coronavirus 2)によって引き起こされる感染症です。最初に2019年12月中国の武漢で報告されました。その頃はまだこれまでのコロナウイルス感染症のMERSやSARSのように対岸の火事で、日本にはあまり影響のないことのように感じていました。ただ中国の旧正月(春節)で中国からの観光客が持ち込むと困るなと気がかりではありました。

しかしちょうど2年前、2020年1月20日に横浜港を出港したクルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号の乗客で, 1月25日に香港で下船した80代男性がCOVID-19に罹患していたことが2月1日確認された。そこから、船内での感染の広がりや国内での発生で、日本のCOVID-19騒動の始まりでした。

学校の休校、飲食店の営業規制、2020流行語大賞にもなった「3密」「アベノマスク」や「ソーシャルディスタンス」など、今もいろんな社会生活に影響を及ぼしています。
COVID-19ワクチンとして新しいタイプのワクチン、mRNAワクチンが感染症発生からわずか1年で開発され、2020年末より欧米で実用化され、2021年2月からは日本でもコロナウイルスのワクチン接種が開始されました。現在(2022年1月)は3回目接種が始まっています。

たまたまテレビをつけていて、NHKの番組でiPS細胞の山中伸弥教授とカタリン・カリコ氏の対談を見て、今回のmRNAワクチン作成に至るまでの経緯を知りました。mRNAワクチンという言葉はつい最近に出てきましたが、その元となったmRNAの研究は40年以上続けられてきて、丁度タイミング良く今回のワクチン作成につながりました。世界中の多くの命を救い、昨年のノーベル賞候補として取り上げらたりもしました。しかしその間の研究は決して平坦なものではなく、困難なことが続いていました。

今回の3分間スピーチはCOVID-19ワクチンに開発に関わった「カタリン・カリコ氏とmRNAワクチン」としました。
カリコ氏は1955年(昭和30年)1月17日ハンガリー生まれ、高校時代は生物学研究サークルに所属し、その顧問であるトート先生により、小学校時代から指導を受け、その後の研究姿勢に大きな影響を受けました。また2人の科学者との関わりも大きな影響を与えました。一人は初めて「ストレス学説」を唱えたハンス・セリエと、ビタミンCを発見しノーベル賞を受賞したセント・ジュルジ・アルベルトでした。著名な学者であるにも関わらず、ハンガリーの田舎のサークルの部員たちと文通を承諾し、セリエの「生命とストレス」の本を送ったりし、カリコ氏の研究姿勢に大きな影響を与えました。

ハンガリーの大学と大学院に入学し、卒業後も研究を続け、RNAの研究が始まりました。東西冷戦時代で、経済的にも厳しく、研究費が打ち切られたりし、研究の継続のためアメリカへの移住を決意しました。当時外貨の持ち出しは100ドルしかできない状態で、それではアメリカでの生活ができないため闇で自動車を売却した1000ドルを子供のテディベアに隠して、1985年(昭和60年)移住をしました。

アメリカへ移住後も当時はDNA研究が主流で、分解されやすいmRNAの研究が実際の役に立つのか疑問もあり、研究費を得ることも困難で、降格させられるような厳しい研究環境でした。1989年テンプル大学からペンシルバニア大学へ移り、そんな中での運命的な出会いの一つが、1997年コピー室で、免疫とワクチンの学者のドリュー・ワイズマン教授と出会いで、「mRNAを医療に生かしたい」夢と「ワクチンを開発したい」夢から、共同研究画が始まり、そこからワクチン作成への道の始まりでした。

mRNAを外から細胞に取り込ませても、炎症を起こしたり、細胞が死んだりで、なかなかタンパク合成を効率よく進めることができませんでした。mRNAの塩基の一つウリジンをシュードウリジンに変更することにより、炎症を抑えることが可能になることを見つけ、更なる課題の改善を進めて、効率の良いタンパク合成が可能となりました。そのこともまわりに認められるようになり、現在ファイザー社と合同でmRNAワクチン(®️コミナティ)を作成しているドイツのベンチャー企業ビオンテックに、2013年ヘッドハンティングされ、研究環境も改善していきました。それまで娘さんがアメリカ代表として、オリンピックのボートエイトで2008年(北京)と2012年(ロンドン)で金メダルをとり、その母親として紹介されることが多かったそうです。その後自身のmRNAの研究の評価で知られるようになり、今回のコロナウイルスに対するmRNAワクチンの開発となりました。今、娘さんはRNAを作る会社に勤務し「彼女の母親はカタリンカリコなのよ」と紹介されるようになったそうです。

日経メディカルより

山中教授との対談の中で、困難なことが長く続きながら、諦めずに研究を続けていけたことについて、カリコ氏は「困難なことに対して、出来ると信じて試し続けること。否定的な声に自分が影響されないよう、他の人の評価を気にしないようにした。」と述べています。そのような強い信念を持つようになったきっかけは、高校時代に、“ストレス”という言葉を考えだしたハンス・セリエの著書を読んだことです。どうすれば不要なストレスを感じずに生きられるか、「どうにもできないことに時間を費やすのではなく、自分が変えられることに集中しなさい」とアドバイスしていました。それを元に自分に何ができるのか常に立ち返り、自分が変えられることに集中したと述べています。

このmRNAの技術は他の感染症や癌治療にも研究が進んでいます。40年にわたる長い研究の結果の上に成り立っていることを知る事ができました。今日から3回目のコロナワクチンの接種が始まります。このような背景を知ると、また違った気持ちでワクチン接種に関われるのではないかと思います。

献立 6.7単位(536kcal)
ごはん 精白米
豚肉の照り焼き 豚肉ロース、みりん、しょうが、しょうゆ、レタス、ブロッコリー、ミニトマト
炊き合わせ 焼き豆腐、じゃがいも、にんじん、しいたけ、さやえんどう、しょうゆ、だし汁
酢の物 きゅうり、生姜、わかめ、だし汁、酢、砂糖
白味噌のお味噌汁 えのきたけ、花麩、小ねぎ、だし汁、わかめ、白味噌、塩 、柚子皮
果物 りんご