令和6年4月23日（日）〜5月3日（金）に当院の大久保事務員が、スペイン・サンチィアゴ巡礼に行ったことを報告してもらいました。

今年で4回目、6日間かけて123km歩き、巡礼最終目的地サンティアゴ　デ　コンボステーラまで280kmとなりました。昨年は、宿が見つからず10km余分に歩いたり、地元の方のお宅に泊まって、お抹茶をいただいたり、街を案内してもらったり、とドラマティックな出来事が多かったのですが、今回は淡々と？いや粛々と進んだような気がします。しかし、今年は昨年と全く違って寒く、冷たい雨が降ったのは誤算でした。その誤算も巡礼なので試練だったように思います。印象に残ったことを書きます。

★歩く
　毎日、朝からその日の宿まで20km〜25kmの巡礼路を8kgのリュックを背負って歩きました。行程は全て主人におまかせなので、私はひたすら付いていくだけです。背中に朝日を浴びながら、鳥のさえずりを聞きながら、緑の大地を歩くのは気持ちいいものですが、それがあまりにも長い一本道だと景色が変わらず飽きてきます。「次の曲がり道までかんばろ！」「Step by step!」と呪文のように唱えたり、横の車道をバンバン走る車(制限速度90km！)と何台すれ違うかを数えたりしながら歩きました。歩けば歩くほど目的地に近づく〜まさに修行のような気持ちのときもありました。昨年の足首の痛みが再燃するのではないかと、毎日ヒヤヒヤしながら歩きましたが、今回は違和感もなく、大丈夫でした。

巡礼路は黄色い矢印を目印に歩くのですが、前にリュックを背負ってる人が歩いていると無意識にその人達の後を追って歩くので、前の人が道を間違えると必然的に私達も間違えてしまいます。気がつくと、畑のあぜ道を歩いてる時がありました。私達の前の3人組と話達の後の4人組、つまり3グループがみごとに巡礼路から外れて歩いているということもありました。

★食べる
　食べることが大好きな私は、食事が心と身体の疲れを癒す楽しみです。トルティージャ(スペイン風オムレツ)は、どこで食べてもしっとり、それでいて中のジャガイモがほっこりしていて美味しかったです。また、夜は巡礼者達とわいわいワインをのみながらのお食事もいいものです。
　宿によっては、キッチンがあり、自分達で調理して食べることができます。私達も、スーパーで買って食べました。チンするだけの冷凍パエリアは、結構美味しかったです。日本のスーパーでもあるといいなぁと思いました。韓国人はよく自炊していて、炒め物やサラダを食べていました。フランス？の人でしょうか、缶詰のポタージュスープを温めて、それをスープ皿に入れ、そこにフランスパンを一口大にちぎったものをたくさん入れて混ぜて、お粥状にして食べていたのには、ある意味衝撃的でした。

★寝る

巡礼宿は基本集団行動なので、大部屋の2段ベッドで多人数で寝ます。マットレスの上に自分の寝袋を広げて寝ます。夜9時過ぎには消灯、朝6時過ぎまで真っ暗。寝るしかありません。トイレに行くのも、気遣うので、極力行かないようにしていました。歩き疲れているので、眠れるのですが、なんかいろんな夢も見ました。ベッドが接してると他の人が寝返りをするとベッドが揺れ、「あっ、地震だ！」と目が覚めることもありました。

★身体を整える

今回は、気温が低く(昼15℃、夜1℃).時々冷たい雨も降ったので、あまり汗をかきませんでした。しかし、冷たい雨は、気力、体力を奪います。宿にへとへとになって到着しても、シャワーを浴びるのがめんどーだなと思うときもありました。日本にいるときのように見た目をだんだん気にしなくなり、保湿クリームと日焼け止めを塗るだけ、しかも、雨が降ると洗濯しても乾かないので、あまり着替えもせず、「私、だんだん原始人化してる……」と思いました。

★人々との触れ合い
　歩き疲れた心を和ませてくれるのは、もちろん美味しい食べ物ですが、いろんな人々との触れ合いも疲れを癒してくれます。
　巡礼宿で行われた食後の”Meeting”や”瞑想タイム”は、初体験で新鮮でした。宿のボランティアお世話係(オスタレイド)の方の進行で、巡礼の意味を語り合ったり、巡礼の詩を各国の言葉で読み合ったり、全てを理解できた訳ではありませんが、いい刺激になりました。

　歩き疲れて休憩してる時に隣り合った人に日本から持ってきたお菓子をあげたり、宿で同室になった人達と話したりの経験は、日本人であることやひとりの人間であること(肩書きのない素の私)を再確認させてくれた気がします。

　以上が今回の旅の印象です。主人曰く、「あと2回でスペイン巡礼の旅(フランスの道)が完結する！」と。しかし私は、毎回、とにかく付いていくだけで必死です。ゴールできるかどうかは、神のみぞ知るという感じです。次回、スペインの地を歩けるように、過ごしていければ、と思います。