今回、持続皮下 グルコース測定器(以下CGM)のiPro2を糖尿病患者の血糖の変動を調べるために購入しました。まずは自分自身に使用してみてどのように血糖が変動す るかを次の二つの実験をして調べてみました。実験1;フルマラソンを走ると血糖はどのように変動するか。実験2;焼き肉を食べると血糖はどのように変動す るか。
CGMは皮下に針を刺して、レコーダーを取り付けて3日間の皮下組織のグルコース濃度を測定し、血糖を反映するので、指先から血糖測定(自己血糖測定)を1日4回おこない補正をして、持続的に血糖変動の状態を知るための器械です。今年4月にiPro2というハマグリぐらいの大きさの小型の器械が発売され、購入しました。そこでまず自分自身に3日間装着して、使用心地や血糖変動を調べてみることにしました。そこで日頃血糖がどのように変動するか気になっていたことに関して二つの実験をしてみました。
実験2
背景
第55回糖尿病学会が5月17日から19日まで横浜で開催されました。その発表のなかに1型糖尿病患者で、「焼き肉にいって糖質の食品は取らず、肉やアルコール飲み摂取して、低血糖になり救急車で運ばれた」という“焼き肉低血糖”のことが紹介された講演ともう一つは「やっぱり焼き肉は血糖値が上がる!-CGMによる検討-」というタイトルでの発表がありました。肝臓は体のなかで唯一他の臓器のために空腹時や低血糖の時に、肝臓でぶどう糖を作り、血液に放出し供給する臓器で、す。アルコールは肝臓からの糖の放出を抑制するので、低血糖になった時の体の防御機構として、肝臓から糖の放出ができず、低血糖が遷延してしまいます。それでは実際にはどうかを調べてみることにしました。
目的
焼き肉を食べると血糖はどのように変動するか。
糖質の少ない焼き肉、野菜、アルコールを摂取した時と糖質が主体のご飯を食べた時の血糖変動がどうなっているかをしらべてみる。
方法
5月23日(水)実験1を午前中して午後0時25分に家について、シャワーを浴びて、その後昼食はとらず、水のみ飲んで、午後5時に焼き肉店“大福”に行きました。肝臓からのぶどう糖の放出を抑制するために、まず最初に生ビール中ジョッキを1杯飲みました。前半の1時間は糖質の少ない食事として生ビール2杯目を飲みながら肉(ネギたん塩、はらみ、ロース)、野菜、海鮮サラダを食べ、後半の1時間は糖質を多く含む食事として石焼ビビンバ、元気畑のイモアイス(スイートポテトにアイスクリームをのせたデザート)を食べ、iPro2を使用して血糖の変動を調べてみる。
結果
焼肉店に行く前の午後5時15分の血糖が97、糖質の少ない食事をして1時間目の血糖が139、それから糖質の多い石焼ビビンバやイモアイスを食べて帰って午後8時の血糖が99でした。朝に食事をして12時間ぶりの食事で、最初に糖質の少ない肉、野菜などを食べた後に血糖が増加し、逆に糖質の多い食事を食べた後には血糖が下がっていました。
考察
CGMで血糖の変動を見ると、前半の1時間はビールには糖分が含まれていますが、糖質の少ない肉や野菜を取ったにもかかわらず血糖は上昇し、後半は糖質の多いご飯やサツマイモを使った料理を食べたのですが、逆に血糖は低下しもとの血糖にもどっていました。予想では前半の血糖は横ばいで、後半で増加すると思っていましたが、反対の反応になっていました。血液中のインスリンの反応を見ないとどのように膵臓からインスリンが分泌されたのかわかりませんが、前半(焼き肉を食べているとき)は絶食の期間がながくて、一時的にインスリンの分泌が抑えられていたのかもしれません。インスリンを注射している人だとその時にインスリンが効きすぎて血糖が下がってしまうのかもしれませんが、実際の同じ条件でためしてみないとわかりません。今後機会があれば調べてみて報告します。