ウェルネスクリニック

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内科・生活習慣病(糖尿病・高脂血症・高血圧)・甲状腺を診療する柳井市の病院です。

トウニョ
〒742-0021 山口県柳井市柳井1547-1
2019.06.08

山口県1型糖尿病患者会「山口会」講演会

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令和元年6月8日(土)午後3時30分より、山口市湯田のホテルニュー田中で、山口県1型糖尿病患者会 「山口会」の講演会が開催され参加しました。糖質オフスイーツの店「ミーク ラボリエ」のパティシエ、管理栄養士、歯科衛生士の資格を持つ平山 みゆき 先生が「病気をアドバンテージに」というタイトルで講演をされました。患者さん、親御さん、学生、教員、医療従事者など42名の参加者がありました。 


DSC00515.JPG午後3時半から午後5時過ぎまで、平山 みゆき先生による「病気をアドバンテージに」と題して講演がありました。2010年、2型糖尿病の診断を受けたことをきかっけに糖質制限食に出会う。そのことにより、体調が変化し「栄養とはなんだろう」という思いから38歳で中村学園大学へ入学し栄養学を学び管理栄養士を取得。2015年、在学中に緩徐進行型1型糖尿病と診断されインスリン療法に入る。卒業後は自身の糖尿病の経験、お菓子作りのスキル、管理栄養士・歯科衛生士の知識を生かし2017年11月糖質オフスイーツ専門店を開業したことなど、を講演されました。

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開業に至るまでの経緯を
(1)2型糖尿病罹患編
(2)糖質制限との出会い編
(3)大学進学編
(4)1型糖尿病罹患編
(5)起業編
(6)店舗編
の6つの時期に分けて、その当時の糖尿病の状況、検査データ、その時の気持ち、どのように対処してきたかを説明されました。その中で糖質制限との出会い、さらに栄養学について学ぶために大学進学を決めたこと。在学中に1型糖尿病(緩徐進行1型糖尿病)であることが判明。2型の時のとは違う気持ちの変化。糖質制限食と言っても、厳しいものから緩やかな段階のものがあり、平山さんは食事により血糖が上昇しないように、ほとんど糖質を摂取しない食事をされていました。実際の食事の内容、カロリーや栄養組成、「カリフラワーのお米」を利用したりの工夫、血糖の変動などを紹介されました。そのような状況で、糖質オフスイーツを作り始めたきっかけや状況を話され、糖質オフスイーツ専門店を開業することを決心したこと。商品のこだわりとして「1食あたりの糖質5g以下、小麦、砂糖、デンプンは使用しない、自分自身が血糖測定した値の公表、美味しさの妥協はしない」ことでご自身で、研究開発をして、起業のための経営を勉強しながら準備をされました。

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今回、参加者に糖質オフケーキを試食したもらうために、受付時に4種類のケーキ(マドレーヌ、レモンのケーキ、紅茶とオレンジのケーキ、アーモンドのチュイール)の中から好みの1つを提供されました。そのスイーツについてもカロリー、栄養組成、自分自身の食べた時の血糖変動を提示されました。開店して1年半が経過し、大きな宣伝はすることなく、口コミで広がることで店のことを知っていただき、自分一人で出来る範囲での無理をせず、焦らず徐々にお客さんも増えていっていました。本日の講演のタイトル「病気をアドバンテージ」にとあるように、病気になったからこそ説得力のあるモノづくりができることを利点に、これからも糖尿病とは一生の付き合いなので、自分なりに自分のペースでと講演を結ばれました。
「知人などと外食する時に、どのように対処していますか」「糖質を制限する代わりに、タンパク質や脂質の割合が多くなりますが、脂質の値への影響はどうですか」など多くの質問がありました。講演終了後も、講師の方と多くの参加者が個人的に挨拶や質問などで熱心に話しをされ午後6時半まで続いていました。
糖質制限食については1型、2型に関わらず、賛否両論があり、糖尿病学会でもあまり極端な糖質制限食は勧められないとの立場を取っています。1型の糖尿病には成長期の小児も多く、単に血糖コントロールのために糖質を制限することは危険です。演者の平山さんも栄養学を勉強し、賛否両論をあることを認識して、糖質制限をされていました。決して他の人にも糖質制限を勧めていこうとするのではなく、あくまで自分の立場としての選択をして、実行されていました。3度の食事に関しては、賛否両論があります。私自身も一般論として「極端な糖質制限は、主食が米で育った日本人には、短期間はできても、長く続かなかったり、体に悪い影響があるのではないか」と思っています。今回、初めてそれを実行している平山さんから実際の食生活を聞けたことは、単に頭の中で想像していた時よりは食事療法に対する視野が広くなったような気がします。「カリフラワー米」は一度どんなのか試食してみたくなりました。

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しかし、間食としての糖質制限は、「糖尿病があるから甘いものは食べてはいけない。」では、特に女性の場合には、人生の喜びや幸せが半分になってしまうのではないでしょうか。何事もほどほどが難しいことです。今回の「糖質オフスイーツ」はどんな人にも食事療法を楽しむ上で、参考になり役立つと思います。
その後は場所を変えて有志と演者の先生を囲んで8名で午後6時半から食事会をし、各々が簡単な自己紹介をして、講演や趣味のことなど話しも弾みあっという間に時間が過ぎました。食事は会席料理で色んな食事が運ばれてきます。講演の質問にもあったように、糖質制限をしている平山さんはどんなに食べるのだろうかと見ていました。ほとんどの食事は食べられ、天ぷら、ご飯、デザートのマンゴープリンは残されていました。そろそろということで午後9時過ぎに集合写真を撮って、お開きとなりました。

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翌日、6月9日(日)は朝、ホテルから山口大学までジョッギングし、快晴でさわやかでした。朝食のビュッフェは食べ過ぎない事を心がけ、ゆっくりとした朝を過ごす事が出来ました。午後、柳井に戻って来ました。