平成30年4月26日(木)〜5月6日(日)に当院の大久保事務員が、スペインのサンチアゴ巡礼に行ったことを報告してもらいました。
まさかこの私がユーラシア大陸の西の果てでバックパックの旅をするとは思いもよりませんでした。
怒涛のスペイン巡礼の旅から帰って3日目、この手記を書いていますが、自分でも意外なほど元気です。それも驚きです。
主人からスペイン巡礼の旅に行こうと言われてから、何度か近くの山に登りました。登山靴が合わず痛かったり、ストックの使い方が分からずモタモタしたり、急勾配の坂で足がけいれんしたり、下り坂が恐かったりと、嫌なこと不安だらけ。スペインという言葉のわからない地でもし人事不省に陥ったらとか、もし山の中で強盗に襲われたらなどネガティブな想像ばかりで、ひきつった笑顔のまま旅仕度をしていました。
4月26日、スタッフに「楽しんで来て!」という言葉で見送られ出発。
羽田、パリ、そしてバイヨンヌの空港に着いた頃、もうなぜか開き直った気持ちになっていました。
「とにかく生きて帰る!」と覚悟を決め、巡礼がスタート。私はただ主人に付いていくだけです。今日はここまで行くと言われると、そこまで行くことだけを考えて歩いて行きました。7日間。午前〜午後20〜25km歩き、行った先のアルベルゲ(宿)で宿泊〜を繰り返しました。二段ベットがたくさん並ぶ大部屋、男女一緒の集団生活、シャワーもトイレも共用、9時すぎには強制消灯と聞くと、まるで○○生活?と思われるかもしれません。が、世界各国からひとつの目的(795km先のサンティアゴまて歩く)のために集まった人達は明るく気さくで、和気あいあい、お国なまりの英語が飛び交っていました。いろいろな人と触れ合ううちに私の不安は影を潜めていきました。
ダンス好きのスペイン人とサルサを踊ったり、草に足を取られズッコケタ私にでっかい男性が手を差し伸べてくださるという”ウフッ”の体験あり、言葉の壁はあるものの人との会話は楽しいものでした。もちろん6kgのリュックを背負っての歩きは、急勾配の山道ありジャリ道ありぬかるみありで一筋縄ではいかず、マラソンとは違った大変さがありました。が、小道に咲くタンポポ、菜の花、山桜など春の花が心を癒してくれ、赤煉瓦と白壁のいなかの家並みは飽きさせないものでした。
ただ、青空トイレは抵抗感がありました。女性がどんどん木陰に入って行くのを何度か見ましたが、私は無理!ついつい水分摂取を控えてしまいました。
食事はどこも美味しく、日本食が恋しくなることはありませんでした。夕食はワインがついていて、充分堪能できました。
巡礼路で会うと「ブエン、カミーノ!」(良い巡礼の旅を!)と声をかけあいます。その言葉が一体感を強めているのだと思います。
「あのイタリア人夫妻は、旦那さんが途中でイタリアに帰った後、今頃奥さんひとりで頑張って歩いているんだろうなぁ」
「あの日本人カップルは、日本でゲストハウスを始めるという夢を抱きながら今も歩いているんだろうなぁ」
「あのドイツ人の若者は、1日40kmという超速で今頃どこを歩いているんだろう」と、今この瞬間地球の反対側を歩いている人達のことを考えると不思議な気持ちになります。
とにかく生きて元気に帰ってこられてホッとしています。足もトラブルなく歩けたこともホッとしています。
7日間の歩きで、スペイン巡礼が何なのか結局よくわかりませんでした。
さてさて…次回があるのかしらね^ ^