ウェルネスクリニック

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内科・生活習慣病(糖尿病・高脂血症・高血圧)・甲状腺を診療する柳井市の病院です。

トウニョ
〒742-0021 山口県柳井市柳井1547-1
2023.01.13

第595回調理実習「山口県郷土料理」

令和5年1月13日(金)の調理実習は「山口県郷土料理」を作りました。参加者は5名でした。

10時に参加者の方が集まり、調理実習が始まりました。
はじめに新年の挨拶をしました。山口県出身ではない木村栄養士がなぜ山口県郷土料理の献立をしようかと思ったかというと、80歳を過ぎて山口県に長く住んでいますし、患者さんにもお知らせしておこうかなと思ったということでした。「山口県出身の方はいますか?」という問いかけには、3名ほどの方の手が挙がりました。山口市出身の方もいたので、今回の献立にもある”いとこ煮”も作ったことがある方もいらっしゃいました。お祝いの席ではよく作られていたとの事でした。山口県の郷土料理には、今回作る”押しずし”、”けんちょう”、”いとこ煮”、”ちしゃなます”の他に茶がゆやのっぺい汁などがあります。岩国寿司のことを押しずしと呼ぶことがあるみたいです。またちしゃなますは、今回は煮干しを使っていますが代わりにメバルを使うこともあります。郷土料理は、日持ちさせるために砂糖や醤油が多く使われているのが特徴です。今回は、調理実習用に少し工夫をして薄味にしてあります。
その後、献立説明があり、それぞれ担当を決めて10時35分から調理が始まりました。

”押しずし”は、錦糸卵を作ります。薄焼き卵を焼いて、冷めたら千切りにします。エビは下茹でして半分に切ります。酢蓮根を作ります。水煮のスライス蓮根を柔らかくなるまで茹で、甘酢につけます。しいたけの甘辛煮を作ります。しいたけを細かく切って、調味料と一緒に煮て冷まします。大葉は千切りにして穴子は1人2つ取れるように細切りにします。絹さやは茹でて5ミリ幅に切ります。
ボウルにご飯と酢、塩、ラカントを入れて切るように混ぜあわせて、うちわで扇いで冷まします。押しずしの型にレタス、ご飯、他の具材の順に重ねていき、これを2回繰り返します。
”けんちょう”は、豆腐をレンジにかけて水切りします。大根と人参は皮をむいていちょう切りにします。鍋に油を熱して、豆腐を崩しながら入れ、豆腐の水気が少し飛ぶ程度に炒め大根と人参を加えて炒めます。調味料を加えて、大根に味が染みるまで煮ます。

”いとこ煮”は、小豆の水煮にラカントを加えてかぶるくらいの水で柔らかくなるまで煮ます。戻した干し椎茸は、1人2つ取れるようにいちょう切りにします。
白玉粉は水を加えてこね、半量に食紅で色を付け、紅白の団子にして茹でます。だし汁に椎茸の戻し汁を加え、椎茸を入れて煮立て、薄口醤油と塩で調味し、小豆と蒲鉾を加えて一煮立ちさせました。器に紅白の団子を入れて、汁を注ぎ出来上がりです。
”ちしゃなます”はちしゃを洗って手でちぎり、水気を切ります。煮干しは頭と内臓を取って乾煎りし、粉末になるまでよくすり鉢で擦ります。そこにラカント、酢、味噌を加えて擦り混ぜます。しっかり揉み込みました。
”寒天よせ”は、柿の皮をむきミキサーにかけます。今回は柿の種類を変えて、種無しの柿にしてみました。調理しやすく、水を入れなくてもミキサーが回りました。鍋に水と粉寒天、パルスイートを入れよく混ぜ、沸騰したら2分間煮溶かします。少し冷めたらミキサーにかけた柿を加えてよく混ぜ、容器に入れ冷蔵庫で冷やします。

みなさんの手際が良く12時に出来上がり食べ始めました。今回の献立は一つ一つが手が込んでいるので時間がかかりますが早く出来上がったなと思いました。
”いとこ煮”はなぜいとこ煮というのかというお話になり、院長がパソコンで調べてくれて、具材を少しずつ足して行くから「おいおい」を「甥甥」すなわちいとこにかけたものが語源の1つとされる説などあるようです。
参加者の方は「お祝いの席で、家族や親戚が集まって、いとこまで来て食べるから”いとこ煮”と言うのでは?」と予想されていました。
”けんちょう”とは何なのか?というお話にもなりました。調べてみると、山口県の郷土料理として県内各地で食されている「けんちょう」は、豆腐とだいこん、にんじんを煮たシンプルな料理であり、地域や家庭によってサトイモや油揚げ、こんにゃく、鶏肉、シイタケなどのさまざまな具材を入れることもあるようです。大鍋にたくさん作ることが多く、何日も煮返して食べられています。また、汁物に仕立てて、「けんちょう汁」として食されることもあります。
由来には諸説あり、ひとつが「長崎けんちぇん説」。「長崎けんちぇん」とは千切りにした野菜と豆腐を炒めたものを汁物や蒸し物にしたもので、江戸以降に誕生したとされており、法事などの特別な日の料理であったという事です。もうひとつ由来としてあげられるのが「鎌倉建長寺説」で、鎌倉時代の日常食として食されていた野菜と豆腐を炒めた汁物が元となっていて、特に下関では「けんちょう」が日常の料理ということや、貿易の拠点という歴史から「鎌倉建長寺説」が有力だと考えられています。
北九州の方では”鯖のぬかみそ炊き”という料理があるようで、とても美味しいとの事でした。是非1度食べてみたいなと思いました。

食後に、木村栄養士が抹茶をたて、一緒に「ひがしや」の和菓子をいただきました。今回の和菓子は「花びら餅」という和菓子で、ピンク色で可愛らしいお菓子でした。裏千家の初釜のお菓子として親しまれているようで、食べるとしっとり柔らかく、味噌の風味も楽しめるとても美味しいお菓子でした。中に挟んである牛蒡も柔らかかったです。木村栄養士や参加者の方にお点前を習いながら、お菓子を受け取ったりお抹茶を頂いたりと新年から非日常を味わいました。
後片付けをし集合写真を撮って、次回3月にまたお会いすることを約束して、13時過ぎに解散しました。

献立6,68単位(534kcal)
押しずし 米、蓮根、サニーレタス、干し椎茸、しそ、たらでんぶ、焼き穴子、えび、絹さや、卵、濃口醤油、ラカント、酢、塩
けんちょう 木綿豆腐、大根、人参、油、いりこだし、酒、ラカント
いとこ煮 ゆで小豆、ラカント、蒸し蒲鉾、干し椎茸、白玉粉、食紅、塩、薄口醤油
ちしゃなます サニーレタス、煮干し、麦味噌、ラカント、酢
寒天よせ 柿、パルスイート、粉寒天